子供の習い事でアート系をおすすめする理由
現代では、子供の習い事は星の数ほどありますね。
私の周りの、幼児の子供を持つ家庭の間でダントツ人気なのが、水泳教室です。次に体操教室。
これらを選ぶ気持ち、めっちゃ分かります。私も子供たちには、将来的に水泳教室に通ってもらいたいと思っています。(きれいなフォームや泳ぐ速度はそこまで重視していません。川や海に投げ出されても溺れないようになってほしいから。)
ちなみに私は子供の頃、習い事はそろばん教室のみでした。楽しんで通っていたし良い思い出なのですが、ピアノ教室や絵画教室にも憧れたなぁ。田舎出身なので、習い事の選択肢が非常に少なかったのです。
私は、アート系の習い事もおすすめします!
- さまざまな色を扱い、組み合わせることによって色彩感覚が養われる。
- 定規やコンパスを使用しなくても正確に描画できる技術が培われ、将来作成するであろう図面や資料を作成しやすくなる。
- 自分でデザインし1つの作品を作り上げることで創造性を高めることができ、達成感も得られる。
- 絵画は、枚数を重ねれば重ねるだけ上達する。
- どの作品にも魅力的なところがあるため、個性を評価してもらえる。
- 2002年以降、小・中学校の美術の授業時数が削減され、創造的な学びを得るチャンスが少なくなったから。
日本の美術教育が危ない!?美術の授業時数の変遷から見えてくること
まず美術の授業時数がいつ・どのくらい削減されたのか、下記の表で確認したいと思います。
小学校・図画工作の授業時数の変遷
西暦 (年号) | 第1学年 | 第2学年 | 第3学年 | 第4学年 | 第5学年 | 第6学年 | 合計 |
1992年 (平成4年) | 68 | 70 | 70 | 70 | 70 | 70 | 418 |
2002年 (平成14年) | 68 | 70 | 60 | 60 | 50 | 50 | 358 |
2011年 (平成23年) | 68 | 70 | 60 | 60 | 50 | 50 | 358 |
2020年 (令和2年) | 68 | 70 | 60 | 60 | 50 | 50 | 358 |
中学校・美術の授業時数の変遷
西暦 (年号) | 第1学年 | 第2学年 | 第3学年 | 合計 |
1993年 (平成5年) | 70 | 35~70 | 35 | 140~175 |
2002年 (平成14年) | 45 | 35 | 35 | 115 |
2012年 (平成24年) | 45 | 35 | 35 | 115 |
2021年 (令和3年) | 45 | 35 | 35 | 115 |
*文部科学省サイトや、国立教育政策研究所サイト内の学習指導要領を閲覧し、作表しました。学習指導要領とは、文部科学省が学校教育法等に基づき、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準を定めたものをいいます。
*表中の西暦(年号)が小学校・中学校で異なる理由は、学習指導要領が改訂され、それが施行された年が小学校・中学校で異なっていたためです。
*前年に比べて授業時数が減っている箇所を青く表示しています。
なるべく新しいデータを載せたいと思い、平成からの授業時数の変遷に着目しました。
表中の数字を見ると、小・中学校ともに、2002年から授業時数が大幅に削減されているのが分かります。
なぜ美術の授業時数が削減されたのか?
結論として、学力低下が叫ばれるようになり受験科目の5教科に、より重きが置かれるようになったからと考えられます。
なぜこのような結論となるのか。私が得た複数の情報と持論を組み合わせて、検証していきたいと思います。
前述で「美術の授業時数は2002年に、大幅に削減された」と表記しましたが、同年に、実は美術だけでなく他教科の授業時数も削減されているのです。その理由は、『ゆとり教育』の導入です。
ゆとり教育の施行期間については諸説あり、初期の取り組みから数えると1980年から始まったようですが、大きく改訂された学習指導要領の施行年である2002年から始まったともいわれています。
実質的にゆとり教育が開始された2002年に、美術だけでなく国語や数学といった受験科目も授業時数が削減されました。大胆な教育改革でしたが、これにより「学力低下がもたらされた」と議論されるようになります。
次の学習指導要領の改訂(小学校: 2011年/中学校: 2012年)では、ゆとり教育の実施前ほどではないにしても、受験科目の授業時数は増やされました。しかし美術の授業時数は削減されたまま、変わりませんでした。
「学力低下に歯止めをかけたい」=テスト結果により明確な数字が示される受験科目に重きが置かれ、美術の授業時数は増やされることがなかったといえそうです。
美術の授業時数が減ることによる問題点とは?
授業時数が少ない美術の教員募集は多くありません。地方では美術教員の採用を見送る年があり、1人の教員が複数の学校を受け持つこともあります。これらの要因から、若い人が美術教員という職業に将来性を見込めず、なり手が減少していく可能性が高いです。
今後もっと美術の授業時数が削減されれば、美術の教員免許を持たない教員が美術を受け持つことになるかもしれません。そうなると、その地域の美術教育の水準は低下するでしょう。
2020年に新しい学習指導要領が施行され、小学校で英語やプログラミングが必修となりました。学ぶ分野が増えたことで、「小学校の図画工作の授業時数が削減されるのではないか」と心配しましたが、上の表の通り、授業時数は据え置きされています。
時代の変化とともに、子供たちの学ぶべき分野は増加します。ほとんどの高校では美術は選択教科の1つとなっていますが、時代の波を受け、私は中学校も美術は選択教科になるのではないか…と危惧しています。
美術は自己表現をすることができる、貴重な教科の1つ。なんとか必修教科として残っていてほしいと願っているのですが…。
子供が美術を好きだったり、絵画教室や工芸教室に行きたい!と言ってきたら?
私は自信を持って「通わせてあげてください!」と言います。
もし大人が「学校で習ってるから十分じゃないの?」とか「習い事までさせる価値はあるの?」とか思っていたとしたら、「図画工作・美術が好きな子供からすれば、学校の授業だけでは明らかに物足りない!」と断言します。
例えば現行の学習指導要領において中学校では、基本的に1週間につき1時間しか美術の時間はありません。(1年生のみ、1週間につき2時間実施が何度かあります。)
美術は絵具等の道具を使用した授業が多く、準備や片付けにも時間を割かれます。そのため1週間につき1時間の授業だけでは、作品制作のために十分な時間が取れているとはいえません。限られた時間内で作品を仕上げるために、創意工夫・試行錯誤する時間をなるべく減らし、急ピッチで作業を進める必要があるからです。図画工作・美術が好きな子供は、学校外の活動で学びの欲求を満たす必要があると考えます。
私は美術の教員免許を持っているので、子供が小さいうちは自分で教えたいと思っています。最近、3歳の長男くんは絵具デビューしました。
しかし、もし子供から「美術をもっと学びたい」という欲求を感じ取ったら、習い事に通わせることも前向きに検討します。実務経験のない私の指導力には限界がありますし、習い事等の集団活動は仲間から刺激を受けやすく、モチベーションを保つために有効です。また共通の趣味を持つ友人と出会える機会を提供できます。